静かな高原の秋を歩く。
朝露にしっとりと濡れた落ち葉の音を気にしながら、耳をそばだたせて全体を見るとはなしに眺める。
引きつけられるのは、やはり、ツタウルシの紅葉だ。
ツルマサキの緑を包みきれずに、紅葉した葉が上へ上へと伸びる。
 ツタウルシ(蔦漆)と ツルマサキ(蔓柾)

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 ナナカマドの実が赤く熟している。
レンジャクやマミチャジナイが好んで食べる実だ。
食痕を探すと、まだここに野鳥は来てはいないようだった。
 ナナカマド(七竈)

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 森の中にバサバサと二音して、枯れ枝の先端にスゥーと大型の鳥がとまった。
ノスリだった。
「野面をするように低空飛行して獲物を探す」ことが名前の由縁のように、朝の獲物をさがしている。
普段はあまりレンズを向けないが・・・紅葉バックなら一枚(^_^;)
 ノスリ(鵟 Eastern Buzzard)

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 朝の森は暗い。その中を枝から枝へ飛ぶ個体が。
キビタキの成鳥雄だった。
早いものは9月下旬ごろから南に渡り出すが、ここでは11月初旬までいることがあった。
 キビタキ♂(黄鶲  Narcissus Flycatcher)

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 マユミやサワフタギの実成を確かめながら歩くと、林床におりる個体が。
コガラが落ちたマユミの実を食べに来ていた。
ベレー帽をかぶったようなコガラの、頭でっかちな四角いフォルムもかわいい。
 コガラ(小雀 Willow tit)

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 近くではカシラダカが、とぼけた顔で僕の通り過ぎるのをまっている。
間違ってもミヤマホオジロの雌ではないなと、ひとりごちてシャッターを切る。
カシラダカは興奮すると頭頂部の羽を立たせるので、ミヤホのメスかとこれまで何度か騙された。
アトリの五〇ほどの群れもきているから、例年より少し遅れて冬鳥も徐々に到着ということだろう。
 カシラダカ(頭高 Rustic bunting)

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 夏場には「ジェージェー」とうるさいカケスが、控えめな声で廻ってきた。
英語名のjayは、この鳴き声からきたという。
そろそろ、貯食も始まるのだろう。
どこを貯蔵庫にするか探しながら飛び回っている感じもした。
 カケス(橿鳥 Eurasian jay)

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 そんなカケスにはお構いなく、ピタッと幹に飛びついては尾羽を幹に付けて螺旋に上っていくのはキバシリ。
枯れ葉が落ちて、キバシリは目立つ季節になった。
 キバシリ(木走 Treecreeper)

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by photo-etudes-eiji | 2018-10-18 20:55 | 野鳥 | Comments(0)

 いい絵は撮れなくとも「なるほどね!」と、大いに勉強になる時がある。
ゴンズイ?確か魚にそんな名前のものがいたな~?くらいの知識しかないし、モッコクだってあまり普段は気にかけない。
確かに図鑑や本に、モッコクにキビタキの写真はあるが・・・。
 エナガにメジロ・シジュウカラの一団にキビタキが混じって、モッコクやゴンズイに来るという。
モッコクの枝・葉の込み入った表に、キビタキ雌が出て来た。
 キビタキ (黄鶲 Narcissus Flycatcher) モッコク(木斛)

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 キビタキは数羽いるようで、モッコクの枝・葉のドームの中で影だけが動き、時折出て来てはすぐに中に入ってしまう。
キビタキの雄二羽と雌と雌雄の判別が困難な幼鳥がいるようだ。
葉隠れの中で、モッコクの殻の中から赤い実を食べている。
なかなか表に出て来てくれない雄が、やっと!
 キビタキ 雄成鳥 (黄鶲 Narcissus Flycatcher)

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 モッコク(木斛)は防火性、耐火性に優れ、建材に使うと燃えにくく、庭に植えると火の粉を遮って飛び火を防ぐ効果があるそうだ。
さらにモッコクのそばに千両と万両を植えておけば、「千両、万両、もってくる(モッコク)」と金運が上がる縁起かつぎに、情愛を「持つ濃く(モツコク)」ことで良縁に恵まれる縁結びの木だという。
そんな素晴らしい木だそうだが、この日の僕には手強いだけの木。
キビタキはその樹形の中で動き回り、込み入った葉や枝がうるさすぎて撮ろうとする気も萎える。

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 ゴンズイ (権翠) !
『 ミツバウツギ科ゴンズイ属。落葉小高木。別名はクロハゼという。名前の由来は、樹皮の模様(灰緑色で、白褐色の皮目が、縦縞状にある)が魚のゴンズイに似ている、あるいは役に立たないところが似ているなどのことから・・・』とある。
意識して、名前を確認しその実を見たのは初めてだろう。
幼鳥か雌か判別の難しい個体が、ゴンズイの影からその黒い実を咥えて飛び出した。
  キビタキ 雌・幼鳥タイプ (黄鶲 Narcissus Flycatcher) ゴンズイ (権翠)

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 ゴンズイの花言葉=「一芸に秀でる」は、花も樹もあまり冴えないが、実だけは目立つ事からだそう。
こちらは強く納得した。
背景のモッコクの枝がなければ、もう少しすっきりした絵になってお気に入りになるのだが・・・。
キビタキの雄成鳥を、ここで撮れただけでもよかった。
 キビタキ 雄成鳥 (黄鶲 Narcissus Flycatcher) ゴンズイ (権翠)

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 縦位置ですこし大きくトリミングしてみた。
ジックリ時間をかければ、いい絵になるかもしれない。

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 半日粘っても、キビタキはなかなか絵になるスッキリしたところには来てくれなかった。
モミジは良くても、暗いこんなところでマッタリして悩ませる。

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 そんな状況では、良かった一昔前を思い出してしまうのも仕方ないことだ。
房総のクマノミズキで、ホバリングしてくれたころはまだD200の頃だろうか。

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 アカメガシワの時も、良くホバリングやフライングキャッチを見せてくれた。

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 十年は一昔、イイ時にたくさんしっかりと撮っておかないと・・・ということか。
野鳥と木の実の組み合わせもまた、一期一会・・・・。
 キビタキ 雄成鳥 (黄鶲 Narcissus Flycatcher) アカメガシワ(赤芽柏)

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by photo-etudes-eiji | 2018-10-12 06:00 | 野鳥 | Comments(0)

 キビタキは房総でも夏場に営巣しているのを確認しているが、多くは山地で繁殖する夏鳥。
秋の渡り途中に、都市公園や低地の森におりてきた。
アカメガシワやイヌザンショウ・ヤマコウバシにサワフタギやミズキなど、いろいろな木の実を食べて楽しませてくれる。
久しぶりに、イヌザンショウのキビタキに会いに行った。
暗い森のイヌザンショウの中で動いていた雌が、良いところに出て来てくれた。
 キビタキ♀ (黄鶲 Narcissus Flycatcher)

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 イヌザンショウ(犬山椒)は、サンショウに似るが香りが劣り役にたたない事からきた名前という。
犬もかわいそうだが、確かに香りも微かで実を食べても無味で殻を食べている感じだ。
どこがおいしいのか、キビタキ雌はよく来てくれた。

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 なかなか姿を見せてくれなかった雄も、表に出て来てくれた。
 キビタキ♂ (黄鶲 Narcissus Flycatcher)

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 葉隠れの中から飛び出し、イヌザンショウの実を咥えてはまた隠れてしまう。
しかし、実を咥えた時の顔は喜びにあふれている。

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 スッキリと全身もいいけれど、こんな感じでちょっと自慢げな雌の姿もかわいい。

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 枝先にチョコンとのるのもかわいいが、ホバリングしてフライングキャッチはカメラを持つ身には楽しい。

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 雄の出は雌の半分くらいで、毎年その理由を考えてみるのだが・・・。
雌雄で、渡りの時季の食物嗜好が種子食に移る雌と昆虫食と半々の雄とか、そんな生理があるのかもなどと実証的な根拠もない妄想を巡らせる。

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 表に出て来てスッキリと姿を見せてくれれば、改めてその美しさに惚れ惚れとする。
喉元の赤味を帯びたオレンジから、黄色・レモンイエローと変化が素晴らしい。
大きく切り取りたくなる。

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 望遠・標準・広角の三ッくらいのパターンでトリミングしたくなって、毎回悩む。
フルサイズで幹に隠れて中間にある木の葉をボケでいれて・・・。


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 いやいや、キビタキアップで実を咥えた瞬間を・・・、とか。

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 悩ましくても、出てくれたからこそのうれしい悩み。
かつては鬱蒼として、ゴチャゴチャした枝ぶりだったイヌザンショウも今はその面影もない。
イヌザンショウは伐採跡などの攪乱のあった場所に生育することが多く、植生の回復にしたがって被陰されてしまう。
その間に生産した種子の寿命は20年以上とされ、土中で長い期間、次の攪乱を待っているそうだ。
やがてこのイヌザンショウも、終わる時が来てしまうのだろうか?
飛来していた個体数も、三羽ほどでそこにもかつての面影はなかった。
自然もまた変わっていくものだから、出てきて撮らせてくれたキビタキに感謝感謝だった。

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by photo-etudes-eiji | 2018-10-05 06:00 | 野鳥 | Comments(0)

高原の朝

 高原の朝は、04時過ぎには北斗七星が沈み、稜線に赤味が少し出てくる。
カッコウの声が響き、やがていろいろなさえずりが広がってくる。
キビタキが近くを通った。
クロツグミが高い梢で、多彩なバリエーションでさえずっている。
「ポッキリポッキリ・ツクツクホーシ」とキビタキのようであったり、
「チョットコイチョットコイ」とまるでコジュケイのようだったり。
 クロツグミ ♂ (黒鶫 英名 Japanese Thrush)

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 オオルリがさえずっている近くに、オオルリ雌が出てきた。
 オオルリ ♀(大瑠璃 英名 Blue-and-White Flycatcher )

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 キビタキがさえずりながら近くに来た。
喉元のオレンジ色が綺麗だ。
 キビタキ ♂ (黄鶲 英名 Narcissus Flycatcher)

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 するともう一羽が、すぐそばに止まった。
キビタキの雌だった。
雄は両翼を広げて、さえずりとも地鳴きとも言い切れない声で鳴く?叫ぶ?歌う?。
 キビタキ ♂♀(黄鶲 英名 Narcissus Flycatcher)

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 何を話しているのか?
ドリトル先生のように鳥の言葉がわかるなら、こちらも微笑んだり「聞かなかったことにしようね!」とか、言いようもあるのだけれど。
雌の翼が、「あっちに行きなさい」なんて感じ。

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 その指差した方に、雄が飛んでいった。
 キビタキ ♂♀(黄鶲 英名 Narcissus Flycatcher)

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 雌がやっと僕を確認した。
もうペアになって、巣作りの最中なのだろうか?
それとも抱卵に入るところなのだろうか?
やがて、雄の消えた緑の中に消えていった。
 キビタキ ♀(黄鶲 英名 Narcissus Flycatcher)
 
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 高い梢にコムクドリが飛んできた。
ピーキュルキュルと仲間を呼んでいるのか?
数羽の群れが来た。
ほっぺたの茶色い斑が雄の印だ。
英名では栗色の頬。
 コムクドリ♂(小椋鳥 英名 Chestnut-cheeked Starling)

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 ズミの花が一部咲く枝に、雌がおりてきた。
今年の開花は、三月の大雪のせいで遅い。
 コムクドリ♀(小椋鳥 英名 Chestnut-cheeked Starling)

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 盛んに食べ物を探している。
「コ」とついただけなのに、ムクドリに比べてなんてかわいいんだろう。
まだ、集団で動いているから渡って来たばかりなのだろう。
やがて営巣に入ったら、ペアで動くはずだから。

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 イロハモミジだろうか?
真剣なまなざしで、獲物を探している。

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 朝露に濡れた葉の上で、穏やかな表情のメスの姿。
今年の営巣繁殖がうまくいけば良いな!
 コムクドリ♀(小椋鳥 英名 Chestnut-cheeked Starling)

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 クロツグミがまた鳴きだし、近くにコルリが来た。
ウン?サンショウクイも向こうで動いている。
高原の朝は、たくさんの野鳥のさえずりにあふれている。













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by photo-etudes-eiji | 2017-05-23 22:05 | 野鳥 | Comments(0)

渓流沿いのキビタキ

 キビタキがピッコロロピッコロロと鳴いている。
ポッキリポッキリ、オシーツクツクと様々なバリエーションでさえずっている。
 キビタキは綺麗な鳥だ。
学名や英名にNarcissusとあるように、橙黄色から白の鮮やかなグラデーションがギリシャ神話の「ナルキッソス」の変身してしまった「水仙」に見立てられたようだ。
「Flycatcher」は昆虫などを空中捕獲するヒタキ科に使われている。
キビタキ(英名 Narcissus Flycatcher)♂

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 キビタキは、僕を一番最初に遠征に連れ出した鳥。
二昔前、「Nikonデジタルネット」という掲示板で秋田の方が見せてくれていて、撮ってみたいと思った野鳥だ。
山中湖の水場を先輩に紹介されて行ったが、撮れたうれしさ半分で鶏に餌をやっているような光景にビックリしたものだった。
 夏鳥のキビタキが山にやってくると、最初は渓流沿いでよく出会える。
雪が最初に溶け出し、虫が湧き羽虫などが飛び食べ物が豊富だからだろう。

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 まだ芽吹いたばかりの枝に止まっては、飛び立って飛んでいる虫を捕らえる。
背から腰の黄色も綺麗だ。
この背から腰の黄色のぷっくらと膨らませた姿は、雌へのアピールだったり雄同士の縄張り争い時に良くみられる。
この沢には二羽の雄がいた。


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 鳴き声の多彩さを撮ろうと思っていたが、まだ雌が飛来していないのか朝一に高い梢でさえずったくらい。
沢を登ったり下ったりしながら、食事に夢中だった。
 先回りしていると、ドンと目の前に飛び出したことも。
喉元がとってもきれいで、レンズを通してお見合いした。

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 渓流沿いの木々はまだ芽吹いたばかり。
ミソサザイも時折小さく鳴く程度で、たまに来るオオルリにセンダイムシクイ・クロツグミていど。
まだ飛来数が少なかった。

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 キビタキで不思議に思っていたのは、羽衣に成鳥雄のような完全な黒・黄・白ではない個体を見ること。
ルリビタキなら「羽衣遅延成熟」で、三年四年とたつほどに美しい瑠璃色が出るが・・・、キビタキは換羽が終わっていない様な雄がいる。
下は昨年五月、奥深い標高1400mで撮った個体。
桜の枝から運送用道路に下りてきた。
後頭部や肩から雨覆・風切と換羽が終わっていない。
キビタキ 換羽遅延個体♂

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 どういうことなのか不思議に思っていたら、今月号のバーダーに答えが。
「換羽は多くのエネルギーを必要とするから換羽を優先するか、中止して渡りを優先するか選択する方法をとっている・・・」ということのようだ。
キビタキ 換羽遅延個体♂

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 「長い距離を渡る個体は脂肪を蓄積するためあまり換羽せず、短い距離を渡る個体は多く換羽する」
そんな仮説が成り立つか写真を撮って検討して欲しいと書かれていた。(バーダー5月号 鳥博士の研究レポートより)
この夏、そんな視点でよく見てみようと思う。

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 それにしても、この日のキビタキはさえずりが朝だけ。
餌取りに出てくれるのはありがたいが、声を聞けないのは何とも寂しい。


                       
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 最後の最後で別個体がやってきて、ブンブンと鳴き追いかけっこをしてくれたが、動画は間に合わず。
残念だったが、もう少し芽吹きが進んでからまた会いに行こう。
キビタキ(英名 Narcissus Flycatcher)♂

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by photo-etudes-eiji | 2017-04-29 10:04 | 野鳥 | Comments(0)