コマドリ・・・餌を運ぶ

 お盆を過ぎて、山もずいぶん静かになった。
うるさいぐらいに鳴いていたウグイスも声が少なくなり、天辺で高らかに唄っていたオオルリもそこにもう姿がない。

当然コマドリの声も、時折一声二声軽く口ずさむ程度。
8月の初旬には、シラビソ・オオシラビソの天辺や渓流・笹薮の所々でさえずってくれていたのに。
 コマドリ (駒鳥 Japanese robin)

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 しかし、いなくなったわけではない。
笹藪から笹藪へ渡ったのはクロジ。
枝から枝へヤマガラ・シジュウカラやルリビタキが採餌に渡る。
じっと耳をすましていると、すぐ側の笹が音を立てた。
逆光の中に黒い影が2羽?給餌を思わせる動き。

羽色も確認できぬ瞬間だったが、どうやらコマドリのようだった。
揺れる笹を目で追いながらしばらく待っていると、斜面の上に渡ったオレンジ色が見えた。
今度はこちら側に近づいてくる。

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 笹薮の根元をピョンピョンと採餌しているのだろう。
突然、出てくるならここかと狙っていた石の上に出てきてくれた。
石の上から苔の上に飛び降りて・・・、ふたたび笹薮の中に消えていった。


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 時折声が聞こえ、揺れる笹はあってもなかなか姿を見ることのできない時間が過ぎたころ、やっと姿を見せてくれた。
嘴に獲物をくわえている。
 このポイントでは7月の終わりに雛は巣立ったと思っていたが、別個体なのだろうか?


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 こちらも見つかって、一瞬で笹薮に消えられてしまった。
またしばらくは、風に揺れる笹や梢を気にしながらメボソムシクイやルリビタキに遊ばよう。
みな、子育てを終えたようで気ままに木々を渡ってゆく。
 笹薮が動いた。
根元からコマドリが出て来た。

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 藪から、少しだけ開けた場所にピョンピョンと移動してゆく。
さらに獲物を捕まえようというのか、それとも巣立ち雛をさがしているか?

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 獲物をくわえたまま、こちらに近づいてくる。
山蕗の根元になにかを見つけたのだろうか?

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 ピョンと蕗の根元に飛び込んでは、なにかを咥え斜面を登って行ってしまった。
そして、軽く一声「♪ヒンカララ~~♪」。
心なしか、その声に向かって笹が動いていく気がした。
 残念ながら、雌と幼鳥の姿は画像として確認できなかった。
それでも、どうやら今年ここも無事に巣立ちを迎えたようでほっとした。


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by photo-etudes-eiji | 2018-08-28 19:00 | 野鳥 | Comments(0)

炎天下のチゴハヤブサ

 8月も半ばを過ぎれば、山の小鳥達も巣立ち、幼鳥が自立し、親鳥の換羽も進んでいく。
そんな時期にまるで最後を締めるかのように、チゴハヤブサが巣立っていく。
 チゴハヤブサは夏鳥として渡って来て、カラスの巣をリサイクルしたり時にはカラスの巣を乗っ取ったりして営巣~育雛をする。
今年も、炎天下の中でチゴハヤブサが巣立っていた。
雛を見守っていた頃。
 チゴハヤブサ(稚児隼 Eurasian hobby)

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 百日紅が満開になったお寺の、避雷針だろうか?
その先端に雌雄が並んでいた。
御住職に断りを入れ撮らせてもらった。
巣はもぬけの空で、巣立ち雛の姿は見えなかった。

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 チゴハヤブサは全長オス31cm、メス35cm。
雌雄同色だが、オスはメスよりも小さく体の下面がより白い。
若鳥では、下腹の赤茶色がない。
ハヤブサよりも小さいことから「稚児」という和名がついたそう。
オスに狩りを促しているのか、巣立ち雛に声をかけているのか、雌が「キーキーキー」と鳴いてくれた。


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 巣のあった場所に飛んできた個体がいて、見ると巣立ち雛が戻ってきていた。
どこから飛んできたのか?汗だくのボヤ~~~ッとした注意力では解らなかった。
 チゴハヤブサ 巣立ち雛 (稚児隼 Eurasian hobby)

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 腰を据えて餌の受け渡しや、飛翔を撮ろうかとも思ったが・・・今までもたくさん撮っているし、なにより四捨五入の気温40゜ではクーラーの効いたところがイイ。
以前の画像を引っ張り出してチゴハヤブサは終わりにしようと、お礼を言ってその場をあとにした。
 ということで、過去画像から・・・・親鳥は腰が赤茶色。

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 巣立ち雛は、腰の赤茶色がまだはっきり出て来ていない。
この子はセミを捕まえて食べてしまった。

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 巣立ち後もしばらくは近くで給餌を受けたり、羽繕いしたり・・・。

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 親鳥が餌を持ってくると、キーキーと鳴きながら、急いで飛び立った。


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 こんなエンゼルポーズをとってくれたこともあった。

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by photo-etudes-eiji | 2018-08-19 21:37 | 野鳥 | Comments(2)

銀河鉄道-D51

 今年のペルセウス座流星群は、またしても雲・くも・雲!
晴れ間を探してウロウロしようにも、そこまでの渋滞も考えれば・・・残念ということにするしかない。
 そこでこの間の下撮り?から。
 しっかりと計算してカッチリとした画像に処理すれば、そこそこの画像になるのだろうが、この程度で小さく満足してしまうのがらしいところ。
もう何年も前に、鳥撮りの先輩から聞いていたポイントに今年やっと行くことができた。
現地はいろいろと変わってしまい、天体撮影には厳しい光源がたくさんになってしまっていた。
自然条件は思うようにはいかず、与えられた条件の中でいろいろと考え思いを巡らせた。
単純に比較明合成をして、単純にキャプチャーNXDのゴミ取り機能で地面や光を消しボカシて終わり。
「もったいない!」と、また言われそうだ。
 しかもタイトルは、誰もが想像する・・・。


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 こんな天の川にD51と流星の予定も、思うようにはいかないものだ。

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by photo-etudes-eiji | 2018-08-12 21:02 | SL・蒸気機関車 | Comments(2)

 知らなければなんということもない光景が、知ってみれば驚きの世界の入り口だったということは日常のそこここにあふれている。
其れに気付くか否かというだけのこと。
2年前、野鳥の会の先輩から「ゴマシジミがでたよ。」との知らせで、ゴイシシジミを撮ったからゴマシジミというのも見てみようと探鳥ついでに行ってみた。
出会ったゴマシジミは、「ゴイシシジミの方が白黒スッキリしていて・・・ゴマだから黒点が小さいのか・・・」という第一印象。
しかし、その生態を調べてみると驚嘆するものだった。
 今年も、ゴマシジミに出会えた。
 ゴマシジミ(胡麻小灰蝶 Scarce large blue)

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 ゴマシジミは絶滅危惧II類。
 『 ゴマシジミは、チョウ目シジミチョウ科に分類されるチョウです。
ワレモコウのつぼみだけに産卵し、孵化した幼虫はワレモコウの花を食べ脱皮を繰り返します。
秋口に4齢(3回脱皮)くらいで地上に降り、クシケアリによって巣に運ばれます。
クシケアリは、ゴマシジミの幼虫が出す蜜をなめ、ゴマシジミの幼虫はクシケアリの幼虫を食べて成長し、翌年の夏に羽化します。
 松本市教育委員会
 草むらの中のワレモコウに、ゴマシジミがいた。

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『 アリの巣は、ほかの昆虫にとってもパラダイスです。
なぜなら常に食物が運び込まれ、外敵から攻撃を受けたらアリが戦ってくれるからです。
アリにばれずに、巣の中にうまく侵入できれば、アリの恩恵を受けて暮らせます。
しかし、アリが築き上げた巣によそ者が簡単に侵入できるわけはありません。
そこでシジミチョウたちは、化学物質の力を使ってアリを欺くのです。
 アリは体の表面に種に固有のワックスのような化学物質を持っていて、これにより仲間を見分けています。
例えば「ゴマシジミ」というチョウの幼虫は、「シェンキクシケアリ」のワックスをまねて仲間と勘違いさせます。
さらに、お尻から甘い蜜を出してアリを引き寄せ、巣まで連れて帰ってもらい、成虫になるまでシェンキクシケアリの幼虫や蛹(さなぎ)を食べて育つという知能犯です。
しかしチョウたちは羽化すると、化学物質の効力が薄れるのかアリたちから一斉に攻撃を受けるため、大急ぎで巣から脱出しなければなりません。
進化の中で獲得したアリを欺く戦略も、期限付きなのです。』大阪教育大学教育学部 教養学科 自然研究講座 准教授 乾 陽子 先生
 
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 ワレモコウのつぼみだけに産卵し、孵化した幼虫はワレモコウの花を食べ脱皮を繰り返し、アリに運ばれ守られながらアリの幼虫を食べて成長し、羽化直後に脱出する!
なんという驚異的な生態だろうか!
アリとの関係性の深いシジミチョウにはムラサキシジミ・ヤマトシジミにキマダラルリツバメなどがいるが、それは共生ともいえそうな関係。
しかし、ゴマシジミは寄生だ。

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 ワレモコウ(吾亦紅)といえば歌謡曲で、ヒットした歌がある。
歌詞に理解困難なところはあるが、好きな歌だ。
そんなワレモコウとシジミチョウとなればいい絵になるかなという思いは、生態を知れば深い「業」のようなものを感じて身震いするほどだった。

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 近くにはキキョウが綺麗に咲いていた。
驚いたことにキキョウもまた、自生株は近年減少傾向にあり絶滅が危惧されている絶滅危惧II類だそう。
生物多様性センターによれば、100年後の絶滅確率は51%だそうだ。
 キキョウ(桔梗 balloon flower )

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 今期は猛暑もあってゴマシジミの発生は少し早く、ワレモコウの開花は始まったばかりだった。

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 近くには 年4-5回発生するツバメシジミもとんでいたが、尾状突起がなくなっている個体だった。
 ツバメシジミ (燕小灰蝶 short-tailed blue)

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 まだ開花の少ないワレモコウだったおかげか、探し歩く手間もいらずゴマシジミはやってくる

 
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 完全な開翅は撮れなかったが、半分見られただけで十分満足だった。

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 そのうえに、交尾個体まで撮ることができた。

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 交尾後、雌はワレモコウに産卵する。
そうしてシワクシケアリに出会わなければ成蝶にはなれない。
1頭のゴマシジミの幼虫は、200個体以上のシワクシケアリの幼虫を食べるそうだ。
食べ尽くせば、自らも種を維持できないゴマシジミ!

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 草むらの中に赤紫のボンボンのような花をつけるワレモコウ。
そこに、奇蹟を重ねなければ生きてはいけない新しい命が生まれようとしていた。

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by photo-etudes-eiji | 2018-08-10 22:19 | | Comments(0)

 たったワンシーンで終わり、あとはふたたび姿は見えず探せず・・・。 
そんなことはさんざん経験してきたが、今回はそこそこの絵にできたので今までの悔しかったシーンが浮かんできた。
 朝霧の天辺でさえずっていた真っ黒個体が、手前の谷に落ちてきた。
やっとオレンジ色が解る枯れ枝の先。
 コマドリ(駒鳥 Japanese robin)

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 コメツガだろう。
このポイントでは、ここがお気に入りの個体がいた。
しかし、どこにいるのかまったく解らなかった。
止まる位置によって、こちらからはまったく見えないのだ。
やっと見える場所にとまって、はじめてそこだったのかと理解できたが、その時には疲れ切ってしまっていた。


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 このポイントでは、一枚だけ天辺が撮れた。
しかし、そこに青紫の球果はひとつもなかった。
実のつかない年回りの木だった。

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 そこそこの球果がついたオオシラビソの天辺に、チョコンとのってさえずていたのは昨年だった。
霧の沸き立つオオシラビソの天辺・・・それはうれしかったのだが・・・絵は白黒。
なんとか現像で明度や彩度を調整して、やっとこれ。
撮っている時から、残念さでいっぱいだった。


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 天辺で見つけられても、角度が悪ければ・・・。
空中を歩いて行ければ、左に回って・・・なんて、本当に思った。


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 良く鳴いて、探しやすいところほど逆光の空抜け。
もう少し高い位置に登って・・・とやってみたが、今度は他の木に邪魔をされコマドリが見えない。

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 滅多にない天辺でさえずってくれても、雲をバックの逆光には泣かされる。
どうしようもない。


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 しばらくいてくれた間に雲が流れ青空バックになって、強めのプラス補正でなんとか強引に絵にした。
しかし、球果が少なすぎるよね~~。


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 球果はそこそこでも、徒長枝のような天辺では間延びしてしまう。
おまけに光は背中からで、おなかまで黒いアカヒゲのよう。
 この数年はそんな残念な画像ばかりを、それでもやっと撮ってきた。
絵になる画像は、何時になったら撮れることやら・・・。
まぁ、また来年も無駄な苦労をするだろうけれど・・・。


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by photo-etudes-eiji | 2018-08-05 06:00 | 野鳥 | Comments(2)

 シラビソもオオシラビソもタップリと球果を付けているのに、なかなか撮れないでいた球果の天辺コマドリがやっと撮れた。
今年はどこの峠も、シラビソやオオシラビソの球果が見事についている。
今年こそはとワクワクしながらあちこちに通ったが、なかなか思うようにはいかなかった。
飛来の時期・求愛の時期・営巣から巣立ちの時期と時間だけが過ぎ、おまけに天候不順で大雨や猛暑。
これからは換羽もあって、なかなか出も悪くなるという時に、やっと! 
青空に気持ち良く「♪ヒンカララ~~♪」。
 コマドリ(駒鳥 Japanese robin)

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 正直、もう時期的にダメだろうなと思っていた。
コマドリが、天辺に止まってさえずるのは何故なのだろうか?
少ない鳥見経験では天辺でよくさえずるオオルリなどから類推するしかないが、以来直後のメスを呼ぶ求愛やテリトリー宣言・抱卵するメスとの「見守っているよ」というようなコミュニケーション・巣立ち雛への呼びかけ・・・などからだろう。
オオルリも子育てが終われば、天辺でさえずる姿は格段に少なくなる。
事実ここでも、オオルリはもう谷筋の枝の中で鳴いているだけだった。
 そんな時に、相変わらずどこで鳴いているのか探せずにいたコマドリのオレンジ色が突然天辺に。
瞬時にオオシラビソの球果の有無を確認した。
しっかりとついているので、うれしさがこみ上げてきた。
が、主幹からの主枝が徒長気味なのが残念。


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 前回は泣かされた空気の揺らぎもまだそれほどではないし、それ以上に前回よりも気持ちだけ近い幹なのがよかった。
コマドリはよくさえずってくれた。
ライブビューでピントを合わせ、縦位置に変え横位置に戻し、動画に変え・・・。


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 青空バックで構図を変え、消えそうな雲の筋を入れ・・・。
緑の谷筋を背景に、絞ったりぼかしたり・・・。
思いつくいろいろをしっかりとやらせてもらった。


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 距離があることから、勾配を上ったり下りたりするこちらの動きは、コマドリにはまったく関係がなかった。
結局、コマドリはこの樹冠で23分間さえずりを繰り返してくれた。
 その声は、穏やかなさえずり。
争うでも、必死に呼びかけるでもなく、心なしか大仕事を終えた開放感さえ感じられた。
 出会いはこれでおしまい。
スト~~ンと谷筋に落ちていき、消えてしまった。


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by photo-etudes-eiji | 2018-08-03 23:18 | 野鳥 | Comments(2)