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 シジミチョウは、その幼虫時代に蟻との広範な関係を持つものが多いことに、なるほどと感心したり驚かされたり。
それもどちらかだけが利を得る「片利共生」や双方に利のある「相利共生」、特定のアリとしか結び付かない「絶対的共生」から多くの種のアリと関係する「任意的共生」、さらには蟻の幼虫を食べてしまうゴマシジミのような「寄生」まで多岐にわたるという。
 成虫は年3~4回発生する多化性で、5~11月にかけて見られるクロツバメシジミもまた蟻との関係の深いシジミチョウだそうだ。

 河岸の石積み、ツメレンゲの群落にクロツバメシジミが乱舞していた。
 クロツバメシジミ(黒燕小灰蝶 準絶滅危惧種)

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 ツメレンゲの和名は、ロゼットの様子が仏像の台座(蓮華座)に似ていること、そしてその多肉質の葉の先端が尖っていて獣類の爪に似ることからきたそうだ。
 ツメレンゲ(爪蓮華・ 準絶滅危惧種)

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 クロツバメシジミは、このツメレンゲの葉に卵を1つずつ産みつけるそうだ。

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 世界のシジミチョウ科の約75%の種がアリと関係を持ち、日本産のシジミチョウ科では約56%の39種がそうだという。
クロツバメシジミがどんなアリと関係しているのか、じっくり観察するには飛び回ってばかりで熱中症になりそうで軽くあきらめた。
交尾個体がいた。
雌は雄に比べて裏翅の黒点が発達しているというから、右側が雌のようだ。

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 ツメレンゲにとまったペアには、他の♂がお邪魔しにきた。
 
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 逆光側から撮ってみると、黒い表翅が透過光に綺麗だった。
やがてクロシジミはこのツメレンゲに卵を産み付けていくのだ。
暑さのせいか、すでに生み付けられた卵を探す気にはならなかった。
 
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 『シジミチョウは共生するアリに蜜を与えることで、アリの脳内物質ドーパミンの働きを抑制しその行動を操作している』
それが最新の研究の成果のようだ。

 『アリの脳内物質を測定したところ、蜜を摂取したアリは、動物のさまざまな行動を調整する働きをもつドーパミン量が減少していることがわかりました。
また、ドーパミンの放出を抑制する薬物(レセルピン)をアリに投与した際にも蜜を摂取したアリと同様に歩行活動が減少することもわかりました。
この研究により、これまで「相利共生」と考えられてきたシジミチョウの幼虫とアリの関係が、栄養を与える幼虫側の利己的な行動操作によりアリが操作されることで維持されていることが明らかになったと言えます。
北條賢特命助教は「アリにとって幼虫の蜜を摂取することがどれほど利益のあるものなのか、さらに研究を進めたい」と話しています。』           
 神戸大学 HPより
 クロツバメシジミがコマツナギの花にとまってくれた。 
コマツナギは、茎が丈夫で馬をつなぎとめることができるほどだからとか、馬が好んで食べるからということからついた名前。
何かしら、炎天下に秋を感じた。

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 移動したポイントでは、ツバメシジミがヤマハギの花にいた。
ツバメシジミは表翅がブルーだが、クロツバメシジミ同様にとまって翅をひろげてはくれなかった。
 ツバメシジミ ( 燕小灰蝶 )

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 ツバメシジミ(燕小灰蝶)

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by photo-etudes-eiji | 2018-09-05 06:00 | | Comments(0)

 知らなければなんということもない光景が、知ってみれば驚きの世界の入り口だったということは日常のそこここにあふれている。
其れに気付くか否かというだけのこと。
2年前、野鳥の会の先輩から「ゴマシジミがでたよ。」との知らせで、ゴイシシジミを撮ったからゴマシジミというのも見てみようと探鳥ついでに行ってみた。
出会ったゴマシジミは、「ゴイシシジミの方が白黒スッキリしていて・・・ゴマだから黒点が小さいのか・・・」という第一印象。
しかし、その生態を調べてみると驚嘆するものだった。
 今年も、ゴマシジミに出会えた。
 ゴマシジミ(胡麻小灰蝶 Scarce large blue)

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 ゴマシジミは絶滅危惧II類。
 『 ゴマシジミは、チョウ目シジミチョウ科に分類されるチョウです。
ワレモコウのつぼみだけに産卵し、孵化した幼虫はワレモコウの花を食べ脱皮を繰り返します。
秋口に4齢(3回脱皮)くらいで地上に降り、クシケアリによって巣に運ばれます。
クシケアリは、ゴマシジミの幼虫が出す蜜をなめ、ゴマシジミの幼虫はクシケアリの幼虫を食べて成長し、翌年の夏に羽化します。
 松本市教育委員会
 草むらの中のワレモコウに、ゴマシジミがいた。

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『 アリの巣は、ほかの昆虫にとってもパラダイスです。
なぜなら常に食物が運び込まれ、外敵から攻撃を受けたらアリが戦ってくれるからです。
アリにばれずに、巣の中にうまく侵入できれば、アリの恩恵を受けて暮らせます。
しかし、アリが築き上げた巣によそ者が簡単に侵入できるわけはありません。
そこでシジミチョウたちは、化学物質の力を使ってアリを欺くのです。
 アリは体の表面に種に固有のワックスのような化学物質を持っていて、これにより仲間を見分けています。
例えば「ゴマシジミ」というチョウの幼虫は、「シェンキクシケアリ」のワックスをまねて仲間と勘違いさせます。
さらに、お尻から甘い蜜を出してアリを引き寄せ、巣まで連れて帰ってもらい、成虫になるまでシェンキクシケアリの幼虫や蛹(さなぎ)を食べて育つという知能犯です。
しかしチョウたちは羽化すると、化学物質の効力が薄れるのかアリたちから一斉に攻撃を受けるため、大急ぎで巣から脱出しなければなりません。
進化の中で獲得したアリを欺く戦略も、期限付きなのです。』大阪教育大学教育学部 教養学科 自然研究講座 准教授 乾 陽子 先生
 
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 ワレモコウのつぼみだけに産卵し、孵化した幼虫はワレモコウの花を食べ脱皮を繰り返し、アリに運ばれ守られながらアリの幼虫を食べて成長し、羽化直後に脱出する!
なんという驚異的な生態だろうか!
アリとの関係性の深いシジミチョウにはムラサキシジミ・ヤマトシジミにキマダラルリツバメなどがいるが、それは共生ともいえそうな関係。
しかし、ゴマシジミは寄生だ。

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 ワレモコウ(吾亦紅)といえば歌謡曲で、ヒットした歌がある。
歌詞に理解困難なところはあるが、好きな歌だ。
そんなワレモコウとシジミチョウとなればいい絵になるかなという思いは、生態を知れば深い「業」のようなものを感じて身震いするほどだった。

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 近くにはキキョウが綺麗に咲いていた。
驚いたことにキキョウもまた、自生株は近年減少傾向にあり絶滅が危惧されている絶滅危惧II類だそう。
生物多様性センターによれば、100年後の絶滅確率は51%だそうだ。
 キキョウ(桔梗 balloon flower )

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 今期は猛暑もあってゴマシジミの発生は少し早く、ワレモコウの開花は始まったばかりだった。

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 近くには 年4-5回発生するツバメシジミもとんでいたが、尾状突起がなくなっている個体だった。
 ツバメシジミ (燕小灰蝶 short-tailed blue)

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 まだ開花の少ないワレモコウだったおかげか、探し歩く手間もいらずゴマシジミはやってくる

 
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 完全な開翅は撮れなかったが、半分見られただけで十分満足だった。

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 そのうえに、交尾個体まで撮ることができた。

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 交尾後、雌はワレモコウに産卵する。
そうしてシワクシケアリに出会わなければ成蝶にはなれない。
1頭のゴマシジミの幼虫は、200個体以上のシワクシケアリの幼虫を食べるそうだ。
食べ尽くせば、自らも種を維持できないゴマシジミ!

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 草むらの中に赤紫のボンボンのような花をつけるワレモコウ。
そこに、奇蹟を重ねなければ生きてはいけない新しい命が生まれようとしていた。

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by photo-etudes-eiji | 2018-08-10 22:19 | | Comments(0)

高層湿原のミドリシジミ

 ミドリシジミは湾岸や関東では、5月末から6月はじめに発生する。
それが、信州の高層湿原では7月も終わり近くならないと発生しない。
桜の開花でさえ一ヶ月と開きはないのに、ミドリシジミは何故こんなに平地と差が出るのだろう?
僕には解らないが、「♂一頭撮った。」「メス一頭撮れた」という鳥友のメールに、それなら数個体~一斉発生を期待できると向かった。
夏休みに入って避暑地の高原は、陸上部やサッカー・ラグビー・テニスと合宿のオンパレード。
その元気な声を聞きながらの昼間のミドリシジミの動きは、不活発。
やっと見つけた一頭と遊んだが、表翅はなかなか見せてくれない。
 ミドリシジミ  緑小灰蝶

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 昼過ぎになってやっと、少しだけ表翅を見せてくれるようになった。
しかし、光の加減だろうかミドリシジミの金属光沢は青味が勝っていて・・・。

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 午後も三時を過ぎる頃、7頭ほどが舞い始めた。
不思議に思ったのは、どの個体もヤチダモの梢から出て来てはその葉の上にとまること。
千葉では谷地田のハンノキで見ることが多いのに、ここではそばにたくさんのハンノキがあるのにヤチダモ。
その葉に一頭がのってクルクルと歩いている所に、もう一頭別個体がきた。

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 交尾かと思ったが、まだそのタイミングではないようで追いかけっこをしておしまいだった。
しかし、2頭が舞い上がると表翅の金属光沢が青緑や金緑色に輝き綺麗だった。
何度か雌雄で舞って、やがて♂は別のヤチダモの葉の上に。
同じ個体が、微妙な輝きを見せてくれた。


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 メスも表翅をひろげて見せてくれた。
ミドリシジミのメスの表翅は、A型B型AB型O型と四種あるそうだが、この個体はB型だろうか。


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 メスはほんの一瞬で飛び去ってしまったが、変わって♂が近くに出てくれた。
木漏れ日の射す中に、青から金緑色に変化する光沢をしっかり見せてくれた。
 高層湿原のミドリシジミがでて、僕のゼフィルスの季節は終わり。
来期は、まだ見たことも撮ったこともない種に出会いたいものだ。

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by photo-etudes-eiji | 2018-07-27 18:00 | | Comments(0)

 オオシラビソの天辺コマドリが陽炎の谷に消え、ふたたび声はすれど姿は見えず・・・。
やがて昼近くなると霧がわき出し、ホワイトアウト状態に。
やむなく山を下り、「ムモンアカシジミが発生したよ!」という連絡を頼りに高速移動。
真夏日の午後。
んな時間に、シジミチョウが木の葉の上にとまって翅をひろげていてくれるか?
天辺に移動してしまっていると、夕刻まで見つけられないかも・・・と不安だったが・・・。
ポイントに移動すると、何のことはなく日陰でじっとしているムモンアカシジミ!
 ムモンアカシジミ 無紋赤小灰蝶

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 ムモンアカシジミは、他の日本産アカシジミ類(アカシジミ、ウラナミアカシジミ、チョウセンアカシジミ)に比べて、表翅に斑紋が目立たないため、「ムモン」と名付けられたそう。
ムモンアカシジミも蟻との関係が濃密で、孵化時にはアリが触角で卵をたたくなどということがあるそうだ。
そのうえ、アブラムシやその蜜?を食べる半肉食性だそうだ。
 一頭を見つけほんの数メートルも歩けば、またも下草近くの枝先に。
こちらもじっと動かず、時たま向きを変える程度でジックリと撮らせてくれた。

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 ふたたび別の個体を探し歩くと、ほんの1メートルほどの所に。
接写ぎみに寄って、ドアップで撮らせてくれる。

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 あれっ?ムモンアカシジミの脚は、2対4本?
ははぁ、胸の所に一対たたんでいるのか。
昆虫の脚は6本。
チョウも基本6本だが、種によっては退化して4本にしか見えないものもあるという。


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 続けざまに3頭4頭5頭と見つけ、その全てが羽化して間もないような新鮮個体ばかり。


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 おかげで、じっくりと観察することができた。
無紋のスッキリとした美しさ。
オレンジ色も緑の葉によくあっている。

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 幸運だったのだ。
前日に発見されて、当日の朝にも先輩が確認していて、次々と羽化した個体が出て来ていたのだ。


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 羽化した個体は、筋肉が固まるまではじっとしていて、10分前後で翅形がほぼ完成し30分もすれば飛べるようになるそうだ。
クヌギだろうか。
中段にそんな個体を見つけた。
前翅の先端がまだ完全には開ききっていない。


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 じっと翅が開くのを待っているようだ。
時折、向きを変えたり歩いたり・・・。

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 そんな姿を10分ほど見せてくれたが、その間では完全には翅が開かなかった。
しばらくすると、5メートルほど離れた別のクヌギの木に飛んでいった。
発生直後というタイミングで綺麗なムモンアカシジミに出会え、陽炎の天辺コマの残念さが少しだけ和らいだ。

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by photo-etudes-eiji | 2018-07-14 06:00 | | Comments(0)

 シジミチョウは、小さくて眼がかわいい。
もっとも身近なルリシジミ・ヤマトシジミ・ベニシジミは、年に4~6回発生するから出会う機会も多い。
ゼフィルスを探した今回もいろいろ出会え、予定外のオオムラサキやスジグロチャバネセセリにも会えた。
今回はベニシジミがたくさん発生していて、探し歩いている途中でもその美しさにハッとさせられた。
春に発生する春型は赤橙色の部分が鮮やかで、夏に発生する夏型は黒褐色部分が太く、黒い斑点も大粒になるそうだ。
 ベニシジミ(紅小灰蝶 Small copper)

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 ルリシジミは春から秋いっぱいまで草地などで見られるが、高原ではいろいろな花とからんでくれて撮ってしまう。
 ルリシジミ(瑠璃小灰蝶 Holly blue)

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 ツバメシジミは、後翅にある尾状突起が名前の由来。
ここで問題が起こる。
たとえば、ムラサキシジミには尾状突起がないが、ムラサキツバメにはある。
アカシジミやミドリシジミ・ミヤマカラスシジミに、「ツバメ」とはつかないが尾状突起はある。
尾状突起が有るからといって、○○ツバメと命名されるわけではないということ。
だったら、名にツバメと入れるのは何が基準なの?と突っ込みたくもなる。
 ツバメシジミ(燕小灰蝶 short-tailed blue)

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 早朝から久々の炎天下で坂道を行ったり来たり探していたら、あっという間にペットボトルの水は無くなり・・・木陰の石に座ってひと休みすると、鳥のように力強く羽ばたいてオオムラサキがやって来た。
英語名のemperorに納得する力強い飛翔だ。
日本昆虫学会が選んだ日本の国蝶(法律や条例で規定されたものではない)=オオムラサキは、アゲハチョウのようにヒラヒラとではなく音を立てグングンととびまわり、ほんの少しだけ葉の上に止まってくれた。
 オオムラサキ♂ (大紫 Great purple emperor)

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 普段セセリチョウは滅多に撮らないが、目を惹かれた。
スジグロチャバネセセリは準絶滅危惧種だそうだ。
似たセセリに「ヘリグロチャバネセセリ」というのがいるが、翅脈の段差があることで、スジグロチャバネセセリと解った。
 スジグロチャバネセセリ

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 そういえば、5月の中旬にサンコウチョウの鳴く谷筋でアオバセセリに出会っていた。
日本国内で唯一青色の翅を持つ種で、青緑色の色彩を「青葉」にたとえたようだ。
 アオバセセリ(青羽挵The Green Velvet Skipper)

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 今回も、たくさんのヒメシジミに出会えた。
裏翅の美しさはなかなかのものだが、今回は悩まされた。
というのも、似たようなシジミにアサマシジミ・ミヤマシジミといて、とくにミヤマシジミとは長らく混同されていたそうだ。
『オレンジ帯の中にある黒斑にはミヤマでは水色の構造色があるが、本種では見られない。』とWikiにある。
ジックリと自分の画像を見ると、有るものも無いものもいる。
ヒメだと思って撮っていたのに・・・・???
 一応ここでは・・・ヒメシジミ(姫小灰蝶 The Silver-studded Blue)

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 ヒメシジミ(姫小灰蝶 The Silver-studded Blue)かミヤマシジミ(深山小灰蝶 The Re)か?悩ましいのがこのカップル。
問題の部分を等倍で切り抜いてみた。

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 大型チョウやジャノメなどのタテハチョウ科はちょっと恐めだが、シジミチョウ科はかわいいからとシジミを中心に撮り始めたが・・・どこの世界も奥が深いものだ。

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by photo-etudes-eiji | 2018-07-08 06:00 | | Comments(0)

 ゼフィルス巡りとの狙いだったが、そうそううまく問屋は下ろしてくれないもの。
そんな中で、早朝06時頃に撮った個体が何なのか?自力では判別がつかない一枚があった。
先輩に送って見てもらったら「クロミドリシジミ」とのこと。
『本種は黒の縁取りと暗褐色のみで、構造色の鱗粉は持たない。
雌では翅表の地色がやや薄くなる。
翅裏は他のミドリシジミ類と大きく違わず一般的であるが地色の褐色は濃く、白帯はやや細く、後翅の赤斑が2つつながっているなどで見分けられる。』とWikiにあった。
早朝、日の出とともに活発に行動するそうだ。
中段の梢の先にチョコンとのってすぐに飛ばれてしまったが、いると解れば来年に期待ができそうだ。
 クロミドリシジミ 黒緑小灰蝶


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 ウラゴマダラシジミはゼフィルスだが、色合いや形はルリシジミなどに似ている。
そんな外見から、ゼフィルスとは見なされなかった時期があるそうだ。
 ウラゴマダラシジミ 裏胡麻斑小灰蝶

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 ゼフィルスはここまで。
ミヤマカラスシジミは、よくハルジオンの花に吸蜜に来ていた。
裏翅の感じは他のゼフィルスに似るが、ミドリシジミ亜科ではあるが樹上性ではないということでゼフィルスに入らないのだろう。
しかし、日本固有種だという。
 ミヤマカラスシジミ 深山鴉小灰蝶


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 今回の撮影行でうれしかったのは、トラフシジミの夏型に出会えたこと。
トラフシジミは、3月下旬頃から地元でも見ることができる。
そういえば、地元の公園で秋にムラサキシジミやムラサキツバメが出る頃、撮ったことがあった。
しかし、春型と夏型があるということをよく知らなかった。
 トラフシジミ夏型 虎斑小灰蝶

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 上三枚が夏型で、下二枚が春型でこれは4月の個体。
春発生型と夏発生型の両方を撮りそろえられたのはうれしかったが、表翅がなかなか撮れないのが課題かな。
色合いからすれば別種のシジミチョウと錯覚しそうだ。
 トラフシジミ春型 虎斑小灰蝶

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by photo-etudes-eiji | 2018-07-07 06:00 | | Comments(0)

 2年前、野鳥の会の先輩の影響でシジミチョウ科だけは一通り撮っても良いなと思うようになった。
それまではギフチョウとクモマツマキチョウ・オオムラサキ程度と、ルリシジミやヤマトシジミにベニシジミという身近なシジミしか撮ったことがなかった。
ある日、アカショウビンを探していると青緑色のキレイなシジミチョウが舞っていた。
すかさず500mmで撮ってはみたものの、ミドリシジミ系だとは解っても名前がさっぱりわからなかった。
今回はその点を解決したいと、ミドリシジミ系を裏表ジックリ狙う予定だった。
下が判別できなかったゼフィルスで、エゾミドリシジミだった。
 エゾミドリシジミ(蝦夷緑小灰蝶)

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 2年前に悩んだのはこの個体。
ジョウザンミドリシジミだった。
 ジョウザンミドリシジミ (定山緑小灰蝶)

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 似たようなシジミチョウにはオオミドリシジミ始めたくさんいるが、裏翅をキチンと撮れていたので判別ができた。
下はハヤシミドリシジミ。 
 ハヤシミドリシジミ (林緑小灰蝶 The Hayashi Hairstreak)

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 ジョウザンミドリシジミ(定山緑小灰蝶)

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 ジョウザンミドリシジミ(定山緑小灰蝶)

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 今回、ゼフィルス6種類の見分け方の画像をいただきジックリと見比べた。
いろいろな見分けるポイント(白条線や肛角部の赤斑・尾状突起など)があるが、ここでは赤斑に注意して見た。
エゾミドリシジミでは赤斑が連続していて(画像の赤丸部分)、尾状突起の付け根部分(白丸部分)の白線が途切れている。
 エゾミドリシジミ(蝦夷緑小灰蝶)



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 ジョウザンミドリシジミでは赤斑部は、横向きのU字にくびれてつながっている。
尾状突起付け根の白線もつながっている。
 ジョウザンミドリシジミ (定山緑小灰蝶)

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 ハヤシミドリシジミでは赤斑は不連続。
 ハヤシミドリシジミ (林緑小灰蝶 The Hayashi Hairstreak

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 今回もだが、意識して同一個体の裏表を撮って判別ポイントを残そうと試みた。
結果は、今回はゼフィルスとしてはジョウザンミドリシジミ・クロミドリシジミ・ウラゴマダラシジミ・アカシジミ・ウラナミアカシジミしか撮れなかった。
 ジョウザンミドリシジミ (定山緑小灰蝶)

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 ジョウザンミドリシジミ (定山緑小灰蝶)

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 ジョウザンミドリシジミ (定山緑小灰蝶)

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by photo-etudes-eiji | 2018-07-05 18:00 | | Comments(0)

 樹上性のシジミチョウを総称してゼフィルスというそうで、語源はギリシャ神話の西風の神ゼピュロス。
日本には25種が生息するというが、この3年で僕は13種ほどしか撮ったことがない。
今期は地元のミドリシジミに行くことができなかったので、高原で一気にともくろんだ。
まずはウラミスジシジミだが、これには6月のはじめの頃に出会っていた。
裏に三筋の白銀腺があるからというのが名前の由来らしいが、ダイセンシジミ(大山小灰蝶)という別名があり、こちらの名は今ではあまり使われていないよう。
この「ダイセン」は伯耆富士の鳥取・大山のことだそうだ。
 ウラミスジシジミ 裏三筋小灰蝶

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 アカシジミ(赤小灰蝶)は6月5日には相当数が発生していたのに、三週過ぎてまだ新鮮な個体がでていたことに驚いた。
アカシジミ系は裏翅はそれぞれにキレイだが、なかなか表を撮らせてくれない。
この辺が、課題だろうか。

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 初撮りというわけではないが、今回出会っておきたかったのはウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶)。
今回も三ヵ所で、それぞれに新鮮な個体と出会うことができた。
前翅と後翅のアンバランスなところが、なんともユーモラスな感じで妙に引きつけられる。

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by photo-etudes-eiji | 2018-07-03 06:00 | | Comments(0)

 いろいろとたてこんで狙いの鳥撮りにいけないまま、シジミチョウの盛りを迎えてしまった。
高原では、ゴイシシジミやゼフィルスが出ているのではないかとシジミ巡りに行ってきた。
標高1800m近い高原は、下界が32℃なのに21℃と涼しい。
少し早かったか?と思いながら探し歩くと、白いチョウがヒラヒラと舞い笹の葉に。
新鮮なゴイシシジミだ!
 ゴイシシジミ (碁石小灰蝶 forest pierrot)

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 ゴイシシジミは、日本産唯一の純肉食性で笹や竹の葉に発生するササコナフキツノアブラムシの群の中に母蝶が産卵し、孵化した幼虫はアブラムシを食べて成長するそうだ。
幼虫時代の小さいころはアブラムシの出す蜜をなめ、大きくなるとアブラムシそのものを食べて、羽化後はストロー状の口吻(こうふん)でアブラムシの出す蜜・体液を吸うのだそう。

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 そんな独特の生態にも興味を引かれる。
ゴイシシジミもなかなか表翅を撮らせてくれないが、傷んだ葉の上に止まって少しだけ・・・。
表翅の白斑はメスの方が発達すると図鑑にはあるが、僕の能力では判別できない。

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 完全開翅とはいかなかったが、表翅の様子がわかるからよしとしよう。
ゴイシシジミは、インドから東アジア・東南アジアに分布し、日本では北海道から九州まで見られ年4~5回、5-10月にかけて現れるそうだ。
このポイントでは第一化となる発生初期。

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 興味深い生態以上に惹きつけられるのは、その白と黒のスッキリとした模様とまるで「蝶人」のようなフォルムからだろう。

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 『ビーナスの誕生』に描かれる西風の神ゼピュロスは背に翼のようなものを付けているが、ウィリアム・アドルフ・ブグローの油彩画 『フローラとゼフィロス』ではジャノメチョウのような羽を付けている。
こんな立ち姿?は、ヴェネチア仮面カーニバルにでもでてきそうな雰囲気だ。
英名の「森のピエロ」は僕の受ける印象に、ぴったりの命名だ。

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 高原のゴイシシジミはまだ発生したばかりのようだったが、それでも150m程の区間に6~7頭がでていた。
最盛期にはまだまだといったところだろう。
 
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 時折、2頭でテリトリー占有行動が見られた。
 
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  まだまだ高原の道は笹も枯れ葉が目立ち、若い葉がやっと伸び始めたところ。
全面緑バックでと思っても、なかなかそんなところに止まってはくれない。  

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 いろいろな葉先でと狙うが、まだまだ高山植物もまばら。

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 それでも、読みどおりにゴイシシジミに出会えたうれしさからたくさんのシャッターを切った。

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 雲行きが怪しくなり、雨もぽつり。
今期、初めてのゴイシシジミを堪能した。

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by photo-etudes-eiji | 2018-07-01 21:00 | | Comments(0)

チョウセンアカシジミ

 チョウセンアカシジミも、大雪山に住むナキウサギ同様に、氷河期を越えて命をつないでいるチョウだそうだ。
 『チョウセンアカシジミは、氷河期を経たはるか太古の昔に大陸から渡り限られた地域に陸封された希少種。鱗翅類シジミチョウ科に属している。この蝶は名前が示す通り朝鮮半島、中国北東部、ウスリー、アムール地方だけに分布すると考えられていたが、昭和27年(1952)当時の宮古高校教師・山本弘氏・・・により田野畑村での発見が報告され、以後の調査により日本国内では岩手、山形、新潟などに生息していることが判明した。』 岩手県宮古市みやこ百科事典 ミヤペディアより
かつて日本海がなく、日本列島が大陸の一部だった頃から命をつないでいたというから壮大な歴史を秘めた姿に感動する。
 チョウセンアカシジミ 朝鮮赤小灰蝶

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 日本に産することが判明したのは1952年で、それ以前は朝鮮産として知られていたのでこの和名があるそうだ。
トネリコの葉の上で休んでいた。
今年の発生は五月の末と早かったそうなので、三週間ほどたっているので会えないか会えても傷んだ個体だろうと思っていたが孵化してわずかという個体に会えた。

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 チョウセンアカシジミは、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種2類で鳥類でいえば、サシバやハヤブサ・アカヒゲ・クマゲラ・サンショウクイなどと同じ位置にいる。

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 『チョウセンアカシジミの幼虫が食べるのは、トネリコという木の葉だけです。
 トネリコにはいくつかの種類がありますが、チョウセンアカシジミの幼虫は葉が広くなるデワノトネリコしか食べません。デワノトネリコは、地元ではアオダモ、ヤチダモ、モエブト、タモノキなどと呼ばれているようです。 』 岩手県宮古市教育委員会 
 こちらの個体は羽化不全なのだろうか?
それでも、夕方にはしっかり飛び回っていた。


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 蝶類はよく花にとまっては吸蜜するが、観察していてもチョウセンアカシジミにそのような雰囲気がない。
調べてみると『本来花などから吸密することがなく、水分のみで生きているチョウセンアカシジミだから、周囲に吸密源の草花は必要ない・・・・・』という一文に出会った。

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 ほんとうだろうか?
トネリコの葉に止まってそこから養分などを得ているのではないのか?
水だけというのは信じがたい話しだが、僕にはまったく解らない。


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 チョウセンアカシジミは、なかなか表翅をひろげて見せてはくれない。
それでもやっと、ワンチャンスだけ何とかこの程度ひらいてくれた。

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 トネリコの枝をよちよちと歩く個体がいて、「産卵するよ!」と教えて貰った。
トネリコの幹の北側の樹皮に、ほのかに緑っぽい卵を産み付け始めた。


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 最盛期には二〇〇頭近くが乱舞したそうだが、終盤のこの時はそれでも夕刻には二組のカップルができていた。

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 今回は残念ながらウラキンシジミには会えなかった。
それでも「梅雨時の妖精」達に会え、満足のいく帰路だった。

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by photo-etudes-eiji | 2018-06-26 17:00 | | Comments(0)