コリンウズラ・・・種名判定は難しい

 11月の半ば頃、猛禽を待っていると路肩の草むらに見慣れないずんぐりと丸まった鳥が、まるで日光浴をしているかのように座り込んでいた。
日本の野鳥としては、見たことのない鳥だった。

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しばらく撮っていると、別の個体が草むらから顔を出した。
以前に、房総中央部の射撃場近くで撮影したこともあり、あとから出て来た個体は「コリンウズラ」とピンときた。
しかし、赤茶色の個体は見たことがなく、安易に「コリンウズラ」と断定するわけにはいかないので、いろいろと調べてみた。
コーネル大学のHPに「Northern Bobwhite ・・・In Masked subspecies of southwestern U.S and Mexico male has black head with solid rufous or chestnut underparts」と書かれた個体の写真があったが、頭頂部まで真っ黒で同じ種には思えなかった。
 困ったあげくに「日本野鳥の会」と「国立環境研究所」に問い合わせてみた。
調べている間に、情報網にながれたようで12月に入るとネットに「コリンウズラ」がいろいろ出てきだし、『胸に白斑があり、眼の周囲が黒い個体はメスではないでしょうか』とか『コリンウズラの幼鳥』『コリンウズラ若鳥』とか、諸説でている。
 コリンウズラ ♂ Northern Bobwhiteに似た個体

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 後から出て来た個体は、「Wikipedia」でコリンウズラと検索すれば出てくる、「Northern Bobwhite 学名:Colinus virginianus」にピッタリと来る種だった。
赤茶色の一羽はずっと座り込んだままで、もう一羽は側溝に入ってそこでエノコログサなどの種子を食べたりしていた。
コリンウズラ ♂ Northern Bobwhiteに似た個体

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 コリンウズラは、アメリカ中東部やメキシコを原産とするウズラより一回り大きいがっしりした体型で全長約20~25センチメートル。
コリンウズラ(学名:Colinus virginianus)は、キジ目ナンベイウズラ科で22亜種(1亜種は絶滅)に分かれているそうだ。
要注意外来生物で、侵入経路は猟犬の訓練用として1980年頃から放鳥されるようになったとある。
アメリカでは狩猟対象として人気種である一方、農地開発などにより個体数が減少し、保護が開始されたと環境省「要注意外来生物リスト」にある。
  コリンウズラ ♂ Northern Bobwhiteに似た個体

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 ほとんど周年にわたって群で生活するという。
周囲には三羽は確認できたが、撮影できたのは二個体。
 コリンウズラの雄は、額とくちばしの付け根・眼下部分は黒色で、のど・眉斑は白色、雌は顔が黄褐色で過眼線は褐色淡い黄色だとであるので、こちらは間違いなくコリンウズラの♂。
英名は「ぼぶ、ぼぶ、ほわいと」と聞こえる鳴き声に由来するそうだが、僕には「フィョーフォイ」といった風に聞こえた。
  コリンウズラ ♂ Northern Bobwhiteに似た個体

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 コリンウズラは、日本では移入種。
販売サイトや「ウズラ交換会」などを調べてみると、ノーマルコリン・レッドコリン・白(ホワイト)コリン・メキシココリン・パイドコリン・カンムリウズラ・スノーフレーク・テネシーレッド・ズアカカンムリウズラなどなど。
実に多様な種が出てくる。
 コリンウズラ ♂ Northern Bobwhiteに似た個体

 
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 コリンウズラは外側を向き群がって眠りにつく特徴があり、これは何か異変が起こった際に全員がバラバラに飛び立てるような習性になっていることからだそうだ。
 コリンウズラ ♂ Northern Bobwhiteに似た個体

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 さて、問題は赤茶色で顔は黒く頬に茶色のこの個体。 
 コリンウズラ  亜種名不明種としておく

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 問い合わせた、「国立環境研究所」と「日本野鳥の会」から、丁寧な返信をいただいた。
一部抜粋して・・・・。

「国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター」
『 ☆写真の赤い個体は、顔が黒っぽいので分布の南西部に生息する顔が黒くて赤いMaskedというタイプの雄に近い。
 ☆顔の黒色部は典型的な個体よりも少なく、下面も横斑が散見されるので、白っぽいタイプとの中間的な個体のようです
 ☆白っぽいタイプ個体群では、幼鳥は赤くなくて雌の羽色に近いようです
 ☆調べた限りではMaskedタイプの雄幼鳥が赤っぽい可能性がないとは言えないと思うが(ただし他種の例から想像するに可能性は低いと思う)、その場合は羽色で雄幼鳥か雄成鳥かを判断することは出来ないということになります
 ☆原産地では異なる色彩の個体群は亜種とされているようですが、ペット等で流通している日本では今回のような赤いけどちょっと中間的といった個体の由来は正確にはわからないようです。
 ☆茨城でこのタイプの個体を標識したことのある人に聞いたのですが、品種間で混ぜ合わせたものが売られているなどがあるようで、該当する亜種はいないとのことです。』


「日本野鳥の会 自然保護室」
『Hand Book of the World という図鑑の第2巻によると、コリンウズラは22亜種に分かれており、額とくちばしの付け根、眼下部分は黒色、のど、眉斑は白色の写真は、北アメリカ南東部に分布する亜種virginianusと思われます。
また、赤茶色い個体の写真は、メキシコで見られる亜種ridgwayiに良く似ています。一方で、販売されているコリンウズラには通常の羽色のものと、レッドタイプなど色変わりのものも販売されており、写真だけからは、正確に判断することはできません。
また、写真の鳥を幼鳥と判断できるだけの根拠も写真ではわかりません。おそらく幼鳥ではないと思います。』
 
 「国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター」と「日本野鳥の会 自然保護室」から返信をいただいた後も、いろいろと調べて僕なりに出した結論は『コリンウズラではあるが、日本で野生化したものはDNA解析でもしなければ亜種名や交雑を特定できない。
したがって雌雄・若鳥・幼鳥などの安易な断定や誤誘導は避けるべきだ。』ということ。




by photo-etudes-eiji | 2018-12-19 06:00 | 野鳥 | Comments(0)