湾岸のハヤブサとヒヨドリ

 「ハヤブサ」と聞いて思い起こす物事で、おおよその年齢の見当が付くかもしれない。
戦中世代なら戦闘機や軍歌が浮かんだかもしれないし、若い世代なら小惑星探査機「はやぶさ」だったり、バイク好きならスズキの「 HAYABUSA」で、鉄ちゃんなら東京〜九州間を結ぶ寝台特急だった「はやぶさ」と行った具合に。
 僕の記憶の中のハヤブサは、映画「北国の街」の挿入歌・舟木一夫「はやぶさの歌」作詞:丘灯至夫 作曲・編曲:山路進一。
(「舟木一夫「はやぶさの歌」本人歌唱」で検索・この動画の鳥はハヤブサだったりミサゴだったりですが)
 『萬年の 雪積む山の いたゞきに はやぶさは住む  
     嵐おそれず 吹雪にたえて・・・・
  たくましく 生きるよ僕も
   今日もまた はやぶさのよう  心かよわい 君をいたわり・・・』
映画の内容とともに子供心に響いた歌だった。
 湾岸を飛ぶハヤブサ ハヤブサ(隼 Peregrine falcon )  

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 それ以来、ハヤブサは高山のいただきに孤高に住むと納得してしまっていた。
愕然としたのは20年近く前に見た、江ノ島のハヤブサだった。
潮の引いた岩場を渡り仰ぎ見た断崖に、ハヤブサの巣があった。
そしてやっと、「万年の雪積む山の頂に住む」と比喩するにふさわしいのは、イヌワシだと知った。
歌詞の後段は間違いなく、ハヤブサはどちらか片方が死ぬまで連れ添うそうだ。

 湾岸の一角にハヤブサが現れ、ヒヨドリの渡りを襲うという鳥友の話しに案内してもらった。
煙突の左に二つの点がとまっている。
 湾岸に住むハヤブサペアだ。

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 早朝、ヒヨドリの群れが現れた。
ヒヨドリはサハリンから朝鮮半島・中国南部や台湾などに分布するが、ほぼ日本に限られるような固有種に近い野鳥。
しかも、東京では1970年代頃までは10月頃に渡って来て春に去って行く冬鳥だったという。
僕自身の実感でもそうだった。
 ヒヨドリ(鵯 Brown-eared bulbul)

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ヒヨドリは羽ばたいて上昇しやめて下降する波状飛行のため、海面に出ると低く飛びハヤブサの襲撃を避けようとする。

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 ヒヨドリは秋に暖地に渡りをする個体も多く、青森の竜飛岬や伊良湖岬・房総半島南端、関門海峡では1,000羽を越えて渡る群れも観察される。
しかし、ここの個体群は北に向かって移動する群ればかりだから「渡り」というよりも、ねぐらから餌場に移動するように思える。

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 ハヤブサは高所で待ち伏せ、「キッ」という合図でオスとメスが共に飛び出し、追い詰める役と仕留める役に分かれ、追い詰め役が獲物を脚で蹴落とし、弱ったところを仕留め役がキャッチするペアでの狩りもする。
居なくなったと探していると、南で狩りをしてきたのだろうペアが帰ってきた。


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 ハヤブサの繁殖場所は、自然環境下では山地の河岸や海岸の断崖(だんがい)の棚になったような所。
だが最近は「三鷹周辺の駅ビル」「石川県庁に巣・高所で繁殖」などの新聞記事も目につくし、谷津干潟にもよく現れ陸橋で獲物の処理をする姿も見る。
チョウゲンボウが焼却施設で何年も営巣したり、ハヤブサの都市化がすすんでいるようだ。
 狩りから帰ってきたハヤブサペアは、今度は煙突の中段におりてまったりとしはじめた。
狩りに出るときは高い位置から狙い、休憩はこの高さ。

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 ヒヨドリの群れは、30羽ほどから70羽を越える群れまで数群が移動していった。
ワンチャンスだけ、その群れにハヤブサが急降下で襲いかかった。
「オォー!!」と感動してレンズにいれられなかった。


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 東南の空には、月齢20の下弦に向かう月が白く輝く。
その月の真下をハヤブサが飛んだというのに、急降下時=時速390kmという高速ハヤブサについて行けなかった。
ジックリ時間をかければ、まぐれで「下弦の月から放たれるハヤブサ」なんて絵が撮れるかな?
妄想だけはしっかりしているのだが・・・。


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 そんなこちらを見下すかのように、朝の光を浴びてハヤブサが飛んでいく。 

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( 注  この点に関して、何人かの先輩に相談した。
タカの渡りに関しては、多くの方々の地道な努力で毎年継続的な調査が行われているが、ヒヨドリなどについてはまだまだ未解明なことが多い。
このポイントについてもこの日の6群200羽ほどが、どこからどう集まってくるのか、どう移動していくのか解らないことはたくさん。
しかも多いときは100羽・200羽という群れが移動するという。
東京湾内湾のヒヨドリは富津岬から西へ三浦半島へ渡ったり、陸地沿いに北にのぼってから西に移動することも多いようだ。
このポイントも渡りのルートと考えられるようだ。)



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by photo-etudes-eiji | 2018-11-05 17:00 | 野鳥 | Comments(0)