ニッコウキスゲ・・・鹿の食害からの復活

 白樺湖からビーナスラインを霧ヶ峰や美ヶ原に向かえば、車窓にはニッコウキスゲが揺れていた。
それがいつの間にか、花のない茎だけが目立つようになった。
ニッコウキスゲにのったノビタキを撮りに行っても、花のない茎の上だったこともあった。
 『霧ヶ峰におけるニホンジカによる植生への影響  ニッコウキスゲ・ユウスゲの被食圧  尾関雅章・岸元良輔  長野県環境保全研究所研究報告5号(2009)』によれば・・・。
 『ニッコウキスゲは・・・調査地点全域の・・・60地点中の54 地点(90.0%)で被食が確認され・・・花茎密度が高いグループほど被食率が高く・・・花茎密度は高いものの被食圧が低かった車山肩(2 地点)と霧ヶ峰園地、霧ヶ峰スキー場駐車場周辺は・・・人間活動が盛んな場所で被食圧が低い 。』とあった。
周辺が食べ尽くされ、最後に残った被食圧が低かったところでさえ食害が目立ってきた頃だったようだ。
 
 5月のレンゲツツジから、コバイケイソウ~ニッコウキスゲと咲く変わる高原。

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 県野生鳥獣対策室の調査で、ニホンジカは『2010年度の調査で県内の生息数は約10万5千頭と推定している。
06年度に算出したのは6万2千頭で、この4年間で1・7倍ほどに増加した。』とある。
ニッコウキスゲは、そんなシカの嗜好植物の一つで群生地が壊滅した事例もあるそうだ。

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 ニッコウキスゲの正式和名は、禅庭花(ゼンテイカ)だそうで自生地・日光戦場ヶ原を中禅寺の庭に見立ててこの名がついたとある。
綺麗な花弁の株を見つければ、何枚撮っても撮りたくなってしまう。

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 『 昨年は天候不良と鹿の食害に悩まされた霧ケ峰高原のニッコウキスゲ。
電気柵で囲った今年は元通りに咲き始めた。(7月13日、諏訪市の霧ケ峰高原)
「県内 増えすぎた鹿  広がる深刻な被害 南信の実態 (2011年9月26日掲載)信濃毎日新聞」より 』
 前年まではなかった電気柵に囲われたのは、この頃だったようだ。
やがて、電気柵の中だけは食害が出ずにたくさんの花を見ることができるようになった。

 そのなかをよく飛び回ってさえずっていたのは、ホオアカだった。
山は「諏訪富士」=蓼科山だろうか?
山容は似ているが、自信はない。
良いところにとまって、さえずってくれた。
 ホオアカ(頬赤 Chestnut-eared bunting)

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 電気柵は、今では当時よりしっかりしたものにかわり遊歩道の柵もできていた。
ノビタキは、柵の中で動く個体数は少なく外周そとに数個体が飛び回っていた。
かわって柵内を縦横に飛び回っていたのは、ホオアカのペア。

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 ホオアカはずいぶん観光客慣れしていて、遊歩道際の柵に乗ってさえずりスマホで接写撮影されまくっていた。


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 電気柵で囲われたポイントは、どこも見事に満開だった。

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 アザミをはじめたくさんの草花が咲き乱れ、ホオアカがどこにとまっても絵になる感じだった。
その反面、電気柵の外はニッコウキスゲの数は少なく、ビーナスラインぞいでは極端なほど眼にできなかった。

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 長野日報2018.07.08 の記事では
『諏訪市上諏訪中学校のボランティア委員会や有志の生徒ら約100人は7日、同市郊外の霧ケ峰高原の蛙原にニッコウキスゲの苗約1100株を植えた。
小和田牧野農業協同組合の所有地に植栽し、初参加の高島小学校の有志児童や保護者と、同組合員を合わせて総勢約130人が参加。
あいにくの濃霧の中での作業になったが、生徒らは将来きれいな花を一面に咲かせようと丁寧に植栽した。
上諏訪中の植栽活動は今年で5年目。
同校では植栽活動のほかにニッコウキスゲの種まきも行い、一から苗づくりに励んでいる。』
とあった。
 いろいろな問題もあるようだが、多くの人の努力で柵のない自然が再生されれば・・・と思った。
 
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by photo-etudes-eiji | 2018-07-18 18:05 | 野鳥 | Comments(0)