白馬逍遥・・・青鬼の棚田 ①

 日本アルプスの展望台は各所にあるが、北アルプスはいろいろな面で条件が良い。
穂高の涸沢・槍穂の常念や燕岳・劔立山の爺ヶ岳。
見上げる場所でも、素晴らしいビューポイントが白馬駅前始めたくさんある。
そんな中で、青鬼(あおに)棚田はなかなか行けないでいた。
 白馬村青鬼集落は、細い山道を登った標高740m程の四方を山に囲まれた村。
文時代から現在まで人が住み続ける生活の場で、1999年農林水産省によって「日本の棚田百選」に、2000年に文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている。
 2018年4月26日08時。
集落入り口の10台ほどの駐車場に車を停め、駐車料金=保存協力金500円をポストに入れて棚田に向かう。
北アルプスの山並みはまだ雲に隠されている。


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 満開の菜の花、棚田のシンボル=コブシも咲き誇っている。
雲が流れているから、しばらく待てば山並みも見えるだろうと、棚田を散歩する。
青鬼の棚田は全部で約200枚程というが、現在水田とされているのはそこまではないようだ。
江戸時代末期、村人総出で「青鬼堰あおにせぎ」と呼ばれる用水路が引かれたことにより棚田を築くことが可能となったという。
ノミで築いた堰(せぎというのがここでの呼び方)と石積みの棚田。
水路を流れる雪解け水の音が、ひときわ高い。

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 八方尾根・唐松岳方面の雲が切れてきた。
 

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 中央の三角のトンガリが不帰嶮(かえらずのけん)Ⅰ峰で、その左に二本の角を生やしたような不帰嶮Ⅱ峰と三つのトンガリの不帰嶮Ⅲ峰。
さらに左に唐松岳となって、白く高く見えるのは八方の稜線上だろう。

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 残雪に白く輝く山並みが見えれば、ため息が止まらない。
石積みの路肩に寝そべって、タンポポと北アルプスだ。
写真は引き算、などと昔からいわれるが・・・僕はこういう点では欲が深い。
人工物のカーブミラーは?といわれると、それは生活の場だから仕方のないこと。
畦や民家・農地への立ち入りは当然禁止で、ビニールロープが貼られているから、守れないカメラマンもいたということ。 



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 一角の畑は菜の花が満開。
来村する人々を楽しませようという心遣いか、山並みをさらに美しく春で飾ろうという思いか、やさしい心根に胸も熱くなる。

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 白銀の稜線と杉の稜線にコブシの稜線。
そこを広葉樹の新緑が駆け上がる!
「山笑う」まではいかずとも、「ほほえみ浮かぶ」だろうな。
こちらも心が弾んでくる。


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 ベタでも、「♪コブシ咲く あの丘 北国の・・・♪」なんて、ピッタリとくる。
雲はさらに流れる。
「♪雲が去り 青いみそらがみられりゃ 歌いましょう 山鳩の兄と妹♪」
残念ながら、まだ青鳩の声はしなかった。

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 あおには、青鬼=善鬼様伝説の地。
その伝説はいくつかあり、有名なのは・・・
伝説1
 青鬼集落と岩戸山を隔てた鬼無里村に、鬼のような大男がやってきて村人を苦しめていた。
村人は、この大男を岩戸山の底なし穴に閉じ込めた。
暫らくすると、鬼無里村の北にある戸隠村で、鬼のような大男が村人を助け喜ばれていた。
村人たちは、その大男が穴をくぐりぬける際に魂が入れ替わったと考え、それ以来この大男を「お善鬼様」として崇めるようになった。
 (長野県:監修DVD「暮らしが息づく風景 白馬村 青鬼」より)


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 絵画の才能がすこしでもあったら、アルプスの山々や、そこで生活する人々を描いたスイスの画家ジョヴァンニ・セガンティーニ(1858−1899)のような絵を描きたいものだと思う。
いやいや、そんな才がなくとも日がな一日、絵筆をはしらせていたいと思った。


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by photo-etudes-eiji | 2018-05-23 18:00 | 風景 | Comments(0)