鳥の王様 ミソサザイ

 雪解け水を集めて、渓谷の沢は勢いよく流れている。
まだまだ、小鳥達はのぼってきていないのか声は少ない。
ミソサザイが一羽、軽くさえずっては沢筋を行き来している。
日本で一番小さな鳥のひとつミソサザイを、鳥の王様とする説がある。
僕はキクイタダキ説(2017年5月16日記事を参照)だが、ミソサザイ説はいくつもの童話や伝承がある。
 ミソサザイ(鷦鷯 Eurasian Wren)

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 その代表といえるのがグリム童話「ミソサザイと熊」だろう。
熊が森で美しい鳥の声を聞きキツネに「鳥の王様、ミソサザイの声」と教えられるが、その宮殿と子供達のみすぼらしさに罵詈雑言を浴びせたことから四足動物軍と野鳥連合の戦いになって、総大将ミソサザイが勝つというもの。
短いから、ここで読めます。
https://www.grimmstories.com/ja/grimm_dowa/misosazai_to_kuma
 それにしても、ミソサザイの、このポーズは何度見てもなかなか立派(^^)/

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 アイヌ伝承では、人間を食い殺す熊を倒すためワシも尻込みする中、ミソサザイが先陣を切ってクマの耳に飛び込み勝利に貢献したとか。
   
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 兵庫県の民話では、クマタカと競ってイノシシを退治し王様となった。
勝手にだけれど、フジパンの民話の部屋に!
http://minwa.fujipan.co.jp/area/hyogo_002/ 

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 ミソサザイのドイツ語名「Zaunkoenig」の「Koenig」は、「王様」という意味があるという。
もっともZaun」はフェンスとか柵という意味らしいが、ヨーロッパコマドリを「神の雄鳥」ミソサザイを「神の雌鳥」としたり、イギリスではそれぞれを「新年の魂」「旧年の魂」を宿すとされたり、いろいろな伝承があるそうだ。

 喉を反らしたポーズとともに、さえずりの一番最後に見せる目をつぶって振り絞るこのポーズも微笑ましい。

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 スコットランドの民話では、一番高く飛べたものを鳥の王様にするという競争で、ワシの首に掴まり最高点でピョンと跳びはね一番になって「鳥の王様」になったという。
 ミソサザイは古事記などにも出てくる人間との関わりも古い鳥だが、その一番の近しさは小さい体で振り絞るそのさえずりにあるのだろう。

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 今でも忘れられない光景に出会ったのは、ずいぶん前のこと。
盛んに巣づくり中だったが、巣材を運びながらもさえずりまくっていた。

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 始めて彼女ができてうれしすぎてたまらない、そんな感じで雌の廻りを欣喜雀躍・狂喜乱舞。
この時ばかりは、両方にピントが合わないことに悔しさを感じた。
 

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 とにかく、さえずりまくる。
さえずっては巣材を咥え、咥えながらもさえずる。

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 5分・10分とも感じられるあいだ、ずっと乱舞!乱舞!
求愛行動と巣作りが同時進行だったのだ。
二羽で林縁にきえた。

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 しばらく立って戻って来て、またせっせと巣作りに励んでいた。
渓流のミソサザイの歌声を聞きながら、今年はどんな光景を見せてくれるか期待が膨らんだ。

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by photo-etudes-eiji | 2018-04-14 19:54 | 野鳥 | Comments(0)