驚愕のアオバト-海のアオバト・山のアオバト

 早朝の展望のきいた山道を走っていると、カッコーやホトトギスの声とともに時折「オーアーオー アオー」と尺八に似たアオバトの声を耳にする。
どこかもの悲しくも聞こえるが、のどかな山里の穏やかな一日を暗示するようで心がほっこりとする。
そんなアオバトの驚愕の光景を目にしたのは、3年ほど前だった。
野鳥を少しばかり撮影してきて、これほどの衝撃を受けたことはなかった。
 アオバト(緑鳩 学名Treron sieboldii 英名 White-bellied green-pigeon )

e0365355_12205866.jpg

 押し寄せる怒濤!
台風の接近が予想より早まり、海は荒れ出し高波が岩を砕く。
そんな中を、アオバトは一瞬をついて岩礁におりては海水を飲む。
次の瞬間!

e0365355_12205968.jpg
 十数羽いた中で、飛び去ったのは数羽だけ。
脳しんとうを起こしたのか、気絶した数羽が打ち寄せられた波間にもまれている。
波飛沫が霧のように舞う浜辺には、何十羽もの死骸や傷ついたアオバトが・・・。
それを狙って、カラスがついばむ。
 アオバトが生きていく上でどれほどミネラルが必要であろうと、ここまでしなければならないのか!
体に高圧電流が流れ、身の毛が逆立った。

e0365355_12205692.jpg

 「何故!こんな日に!」
「何故、これほど危険な場所で!」
「何故、一日や二日我慢ができないのか?」
その光景に唇をかみしめながら、何故だ!と疑問だけが胸の奥底まで駆け巡った。
愛くるしい眼をしたアオバトは、なにごともなかったかのようだった。
 アオバト ♂(緑鳩 学名Treron sieboldii 英名 White-bellied green-pigeon )

e0365355_12205706.jpg

 では、山のアオバトはどうしているのだろう?
その答えのひとつも、別の意味で衝撃的だった。
信州ののどかな田園地帯の一角に、牛舎があった。
その堆肥置き場に、アオバトがやってくるのだ。
牛にとっても、塩は体液の浸透圧の維持、体液量の調整、食べ物の消化吸収、神経伝達などに必須で、飼育下では適宜に与えられている。
・・・そういうことだった。

e0365355_12205731.jpg

 近くの木立ちに止まっては一休みして、また集団でおりてくる。

e0365355_12205829.jpg

 峠の斜面の枯れ木の先であどけない顔をしていたアオバトの、その生態の一部を観察していろいろと考えさせられたものだ。

e0365355_12205857.jpg

 今年、久しぶりにアオバトに会いに行った。
丹沢方面の山から下りてくるアオバト。
 アオバトは名前にこそ「Japanese」とはないが、繁殖が確認されているのは日本だけとか。

e0365355_15264000.jpg

 
 五十羽ほどの集団と十数羽の集団が、何度も岩場に飛来した。
肩に葡萄色が出ているのが雄だ。

e0365355_15264334.jpg

 梅雨の晴れ間でも、外房とは違って波もそう荒くは無い。
アオバトもゆったりと岩場におりては、窪みの海水を飲んだり水浴びをしたり・・・。

e0365355_15264196.jpg

 このくらいの波なら、こちらも安心して見ていられた。

e0365355_15264132.jpg

 一時、海水を飲んでは市街地の松林などに戻って、またしばらくするとやってくる。
まだ、ハヤブサの幼鳥も狩りには来ていないようで、しばらくは落ち着いた日々が続くのだろうか?
釣り人が並び、磯遊びの親子が波打ち際で笑い声を上げ、商業カメラマンが水着モデルを撮っている。
のどかな海だった。

e0365355_15264105.jpg













 




 


 
 


[PR]
by photo-etudes-eiji | 2017-06-26 06:00 | 野鳥 | Comments(0)