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日本産イスカの観察-① イスカの体色

 有る時、鳥友が『イスカは幼鳥の頃は♂♀共に赤いのだそうです。
それが成長するに従いが黄緑色になっていくとのこと。
○○さんが昔、イスカを飼い鳥にする文化があった青森で、飼っていた方に聞いたそうです。」
と知らせてくれた。
しかし僕には信じがたく、頭にこびりついていた。
ネットでは最近、イスカ雌と思える写真がイスカ若とかイスカ巣立ち雛などと紹介されたブログもある。
 疑問におもって山階鳥類研究所に伺い文献や論文・図鑑をあたり、自分の画像を再点検してみた。
撮影箇所は関東甲信の数地点で、「Loxia curvirostra japonica」と思えるものです。

 この年はイスカ大量飛来のの年で、房総でも各所で見られたのがうれしかった。
従って、この画像は留鳥の「japonica」ではないだろう。
たくさんのイスカを見て、すべてを明瞭に撮って比べてみたいものだと思った。

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  ここからの個体は留鳥の「japonica」と思える画像だ。
イスカ 成鳥 雄。

日本産イスカの観察-① イスカの体色_e0365355_22191912.jpg


 この雄成鳥個体は赤味が強く出ていた。
もちろん、光の加減や露出で色は淡くもどぎつくもなるが・・・。

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 こちらは黄色味がわずかに残ってオレンジっぽい。雄成鳥。
 
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 イスカの雌の断定は、なかなか難しい。
この個体は間違いなく雌の成鳥!
その証明は後日。

日本産イスカの観察-① イスカの体色_e0365355_22191904.jpg


 こちらは、レモンイエローがきれいに出た個体。
鮮やかな雄成鳥と行動を共にしていた個体なので、イスカ雌で間違いない。
 
日本産イスカの観察-① イスカの体色_e0365355_22191899.jpg


 日本産イスカの幼鳥。
もちろん雌雄の判別はできないが、巣立ちから4ヶ月ほどたったと思われる個体。
下面の縦斑が特徴的。

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 ほんの少し赤味が出てきた個体。

日本産イスカの観察-① イスカの体色_e0365355_22192105.jpg


 こちらは赤と黄色が斑に出た個体。
幼鳥は第2回冬羽で、換羽し成鳥羽衣になることから、その前の個体ということだろう。


日本産イスカの観察-① イスカの体色_e0365355_22192108.jpg


 この個体も上記と同じだろう。雛~幼鳥期の縦斑がまだ残っている。
ただ、夏鳥と違ってイスカはいろいろな時期に交尾・抱卵・育雛する。
生まれ月によって体色もずいぶん変化するのだろう。
 
日本産イスカの観察-① イスカの体色_e0365355_22191808.jpg


 こちらはイスカ幼鳥でも、黄色味が斑に強く出た個体。
下面に縦斑が明瞭だから、上記の赤と黄色の斑個体よりは若いと思える。
幼鳥雌と判断しそうだが、それは早計だと思う。

日本産イスカの観察-① イスカの体色_e0365355_23282450.jpg


  日本産イスカ 「Loxia curvirostra japonica 」については、あまり写真などを使った文献がなく、図鑑では赤=雄・黄=雌
となっている。
そうしたことから「幼鳥時は赤い」と、なにかを誤解した伝聞なども生き残っているのかもしれない。
しかも、ブログ写真は撮影者によって相当の真贋がある。
もちろん、標識調査などして実際のイスカを手にとって調査したわけではないから、この文と写真も僕の確信に近い推定でしかないのだが。



 
 






by photo-etudes-eiji | 2017-03-08 00:20 | 野鳥