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鳥の王様 キクイタダキ

 鳥の王様がいるという。
渡り鳥なら冬鳥で翼開長2.4mのオオワシ、留鳥なら翼開長2mのイヌワシか?
知っているのは三説あって、①はミソサザイ説②ヤツガシラ説③キクイタダキ説
 
のミソサザイは、一番高く飛ぶことを競ってワシに勝ち王となったスコットランド民話。
グリム童話では、熊を先頭にした「地上動物群」と、総大将ミソサザイの「空を飛ぶもの全て群」の決戦で鳥たちが勝った話。
日本にも「みそさざいは鳥の王様 」という兵庫県の昔話やアイヌのミソサザイ伝承がある。
 ②はギリシャ神話やコーランにも登場することから。
ただし、この場合カッコーと読めるものもある。
正倉院の宝物の中にも、ヤツガシラが描かれたものがある。
 ③は学名「Regulus regulus」 から。
レグルスといったら、獅子座の星で「星の王」。
ほぼ黄道上にあり、航海位置の計測の基準となる一等星。
『学名の属名および種小名の Regulus もラテン語で「小さな王」という意味である。wikipedia』
ヨーロッパ諸国の伝承にもあるというが、僕は知らない。
が、英名のGoldcrestは金の冠羽だから王にふさわしいかも。
僕はキクイタダキに一票だな。
 全ての洋書原典をあたって調べたいところだが、残念なことにその能力がない(^^;)
 ミズバショウ咲く戸隠

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 そんなキクイタダキを探しに・・・。
残雪が残る戸隠の朝は、アカハラのキョロンキョローンというさえずりが響き渡る。
アカショウビンの声があふれていた頃が懐かしい!
ミズバショウが咲き、リュウキンカが彩りを添える。
(ミズバショウの英名はAsian skunk cabbage、それを知って以来「夏の想い出」は好きだけれど歌えない。)
ミズバショウの咲く湿地から、アカハラが飛び上がった。
 アカハラ (赤腹 英名 Brown-headed thrush )
             
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 先を急ぐとアララッ!オシドリのペアだ。
漂鳥のオシドリは、冬ごとに毎年パートナーを替えるそうな。
今年の彼女とご一緒だ。
なんとかミズバショウが入った。
オシドリ (鴛鴦 英名 Mandarin duck )

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 オオアカゲラやニュウナイスズメには目をやっただけで、キクイタダキに集中。
暗い杉の森はまだ雪がたっぷり残り、その上を歩く。
盛んに飛んでくるのは、キバシリ。
なにかを捕まえたようだが、クモなのかな?
キバシリ (木走 英名 Treecreeper )

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 ヒガラやシジュウカラなどの、混群にいることが多いキクイタダキ。
その混群が、待てど暮らせど廻ってこない。
一度、それらしき影が動いたが、確認も撮影もできず!
残雪の上に、4時間たってやっと来た!
 キクイタダキ(菊戴 英名 Goldcrest )

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 全長10㎝で体重は一円玉3つほどの3~5g 、10円玉の4.5グラムに及ばない。
その小ささで、とにかくチョコマカ動き回ってスッキリ撮らせてくれない。

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 キクイタダキは冠羽の黄色が、頭の上に菊の花を戴いた様に見えることからついた名前。
雄は黄色い頭央線部分に隠れるように赤い部分があるが、なかなか見えないために雌雄の判断がつかない。

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  松毟鳥(まつむしり)、まつくぐりの名もあるのを実感できる。
ここでは松じゃないけれど。

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 キクイタダキは留鳥または漂鳥で、冬場は湾岸でも時たま見られる。
とにかく小さく、昔、カマキリに食べられてしまうキクイタダキの画像を見たことがある。
巣材を運ぶときなど顔が全部隠れて・・・なんてシーンも撮ったことがあるが、なかなか苦労させられるかわいい鳥だ。
ミソサザイやエナガも小さいが、キクイタダキが一番小さい印象を受ける。
この日本一については、図鑑などで「日本最小の鳥の一つ」と書かれることが多い。
何をもって最小とするかが難しい。
個体差や年齢差・環境差・捕獲調査数の差など、断定できるほどの資料がないということなのだろう。
 
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 振り返って見上げてくれた!
やっと、頭央線の赤が写せた。
間違いなく♂のキクイタダキ。
散々苦労させられて・・・イヤイヤ、僕に見つかってくれてありがとうだな!
 しかし・・・難しいのはここから!
この冠羽を逆立てて求愛するのだが・・・なかなか撮れないでいる。
王様!なんとか、いつか撮らせてください!

 キクイタダキ ♂(菊戴 英名 Goldcrest )

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by photo-etudes-eiji | 2017-05-16 21:28 | 野鳥